膵内分泌腫瘍の摘出から1年

突然の発症と膵内分泌腫瘍の診断、手術からあっという間に1年が過ぎた。

手術後の痛みは痛み止めの副作用で使える薬の限られている私には二度と味わいたくない恐怖として思い出される。

ちゃんと痛み止めが使えればちゃんと眠れた日々だったのだろうとも思ったりするが、術後に麻薬のお世話になろうとは術前思いもしなかった。

麻薬のお陰で苦しみから解かれて少しづつ動けた時のあの何とも言えない安堵感は今でも鮮明で、どうしてもっと早く使ってくれなかったのかと思ったことも思い出す。

そう簡単に処方の判断ができないことは判っているのだが人間苦しいと自分中心にしか考えられなくなるものだと実感した。

術後、痛くて痛みで息苦しくて身の置き場もなくて眠れなくて、「痛みのコントロールはきちんとするって言ってたのにどうして?」って看護師に言ってしまったり、1分1秒が長くて何度もナースコールを押してしまったり。

近くで急変のアラームがしきりに鳴っていると頭では解っているのにどうにかしてほしいとすがる思いに勝てなくて。

思い出すとまだ切なくて、自分は痛みを我慢できない神経質な自己中な人間なのだろうかという思いに襲われる。

冷静に考えれば、あの時はとにかく必死で堪えて、体中が強張って手が痺れたり息が乱れたりしていたのだから決して甘えではなかったと思う。

1年がたってもこんなことを考えていられるのは今が何事もない平穏な日々だからだけど、いつか来るかもしれない再発や転移への不安があの時のことを甦らせている。

7cm以上もある腫瘍は再発・転移の確率は3cm以下のものからすると格段に高くなる。

良性だった場合のデータは見つからなかったため大きさに比例して悪性の確率も高いだけで良性だけで大きさによる確率を出せば多少低くなるだろうと勝手に思ったりはするが、どっちに転ぶかは神のみぞ知るだ。

漢方のお陰もあり仕事も家事も以前よりずっとこなせるようになってきて、はたから見ればとても元気な状態になれた。

本当にありがたいことだ。

幸せを感じるたびにこうして不安を抱くなんて矛盾しているようだが幸せだからこそ失いたくなくて不安を感じてしまうのだろう。

再発・転移の恐怖はずっと終わらないから上手に付き合っていけるといいんだけど。

できるだけ長い付き合いで居たいので。

最近では体をねじっても体の中が痛むということも少なくなってストレッチなどもできるようになっているから今は今を大切にできることからコツコツと生きていきたいと思う。

それがこの1年で学んだことだから。